ありません。ひきつづき丸木艇のあとを追っています」
と、先生は、すぐ報告をした。そうして、席を博士にゆずった。
博士は、どうしたわけか、のぼせたように、頬を赤くしていた。そうして席につくと、すぐさま二人の方へ顔をむけて、
「まだまだ、道中はながいから、お前たち、こっちの寝室へいって、ねてきなさい」
と早口で言った。
蟻田博士は、千二と新田先生とに、寝室へ引取って、寝てこいというのだ。
二人は、博士の言葉がだしぬけだったので思わず、目と目を見合わせた。だが、火星まで、丸木艇を追っていくときまれば、まだまだ先はとおい。ここらで休息をしておくことは、いいことであろうと思ったので、新田先生は、
「じゃあ千二君、あとを博士におねがいして、しばらく、寝てこようではないか」
と、千二をさそった。
もちろん、千二は、先生の言葉にしたがった。二人は、寝台のついている別室にはいった。
その寝台というのは、ちょっと風がわりな形をしていた。それは、ちょうど列車の網棚を、もっと深くしたようなかっこうになっていて、体を入れると、すっぽりとはいり、下に垂れさがる。しかも取附けられたその寝具の蒲団は、
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