げる。丸木艇は、だんだん地球からとおざかっていくぞ」
博士は、丸木艇の航跡を測りながら、宇宙図のうえに、鉛筆でしるしをつけていく。
「地球から、とおざかっていくと言いますと、火星へ戻るつもりですかな」
と、先生が尋ねた。
「さあ。もうすこし、丸木艇の行方を見ていなければ、たしかなことは言えないが……」
「博士、さっき丸木艇が、だいぶん大きく見えだしましたが、今また、ずんずん小さくなって行きますよ」
千二が、注意した。
「うむ、そうか。丸木艇は、またにげ足を、はやめたんだな。いや、負けてはいないぞ」
博士は、また速度をあげた。エンジンの音が、にわかに大きくなった。
そのとき、空が急に暗くなってきた。星がダイヤモンドのようにきらめきだした。
「先生、どうしたのでしょうか。日が暮れだしたのか、急に真暗になりましたよ」
千二が、驚いて、叫んだ。
「ふん、おかしいね。日が暮れたのにしては、おかしい。下を見ると、あのとおり、地球は、まぶしく太陽の下に光っている。なにしろ太陽も、ちゃんと、ああして空に輝いているのだからねえ」
「先生、どうしたのでしょうか、これは……」
「さあ、おかしいね
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