千二だったのである。
千二少年といえば、彼は、火星兵団の丸木につかまって、ながいこと捕虜になっていた。丸木は、少年が逃出さないようにと、電気帽をかぶせておいた。
この電気帽というのは、電気のしかけで、人間の脳のはたらきをしばる。これは、脳のはたらきというものが、電気作用であるということをつきとめた火星人の学者がつくったものであった。千二は、これをかぶされていたために、丸木のところを逃出そうなどという考えが出ないように、しばられていたのである。
その千二が、どうして、丸木のそばを逃出し、こんなところにもぐりこんで、寝ていたのであろうか。
千二は、一体、どうして丸木のところを逃出せたのであろうか。
そのわけは、すでに気がついておいでの読者もあろうが、ある朝、千二のかぶっていた電気帽のねじが、ゆるんで下に落ちたのが、その原因であった。
電気帽のねじが落ちたことを、丸木は知らなかったのである。もし知っておれば、すぐさま千二のそばへよって、ねじを固くしめなおしたであろう。
千二は、電気帽が落ちたとたんに、夢からさめたように気がはっとした。そうしてすべてをさとったのである。――電気帽
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