って来て、傷口に、マントを破って、かりの繃帯をする。
「これは新田先生、たいへんめずらしいが、どうしたのかね」
「いや、お話をすれば長い話があるのです。しかし、短く言えば、課長、喜んで下さい。蟻田博士が、火星兵団の奴らをやっつける、すばらしい熔解ガスを発明されたのです。そこらにころがっている赤黒い怪物は、みんな蟻田博士の発明された十号ガスのため、やっつけられてしまったんです。どうか喜んで下さい」
新田先生が、早口で説明すると、課長は、
「なに、蟻田博士が発明したって? あの博士がかね」
新田先生は驚いて、そばにいる博士の顔を見た。
博士は、ただ笑っている。
「ねえ、課長。わたしたちは思いちがいをしていたのです。博士はりっぱな人物です。そうして人類の大恩人ですぞ」
「それは、どうかな」
博士は、にが笑いをして、やむなく課長に声をかけた。
「おい、大江山さん。そのおかしな博士は、ここにいて、あんたの手に繃帯を巻いておるよ。わしのことは後でゆっくり新田から聞くがいい」
「やあ、あなたは蟻田博士……」
「驚くことはないよ。それよりも、いよいよ明日から全国の火星人征伐をやりなさい。十号ガ
前へ
次へ
全636ページ中467ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング