宙艇五台が飛出した。そこでロケット百台と宇宙艇五台の大空中戦が始ったが、気の毒にも、ロケットは見る見るうちに空中でとろりとろりと溶けだした。やがて四十台ほどのロケットは空中で溶けて散って、あとかたもなくなり残りの六十台のロケットは基地へ引きかえした。科学国ドイツの技術を総動員しても、火星人のつくった宇宙艇には、かなわなかった。
 モロー彗星は、いよいよ近づいた。
 地球から見ると彗星の頭は満月の二倍ぐらいに大きくなった。
 夜分だけしか見えなかったその彗星は、このごろでは、昼間も空中にうっすらと姿が見えるのであった。
 地上の人間は、日毎夜毎《ひごとよごと》にモロー彗星の怪奇な姿におびやかされ、神経衰弱にならない者はないと言っていいほどであり、おかしくなる者が平年の百倍千倍にもふえていった。
 モロー彗星の尾は気味のわるい青白い光を放った。天空を大きな川のように流れていたが、その形はいつも同じではなく、風にふかれる煙のように方向が変り、形が変った。それは太陽の影響によって、ふき飛ばされるのだと学者は説明した。
 このような、怪しげな天空の下に、地上の人々がだんだん望を失って来たのも、無
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