ていたのであるが、はからずも、地獄沢の上の怪火に引きよせられ、火星兵団にぶつかったればこそ、こうして早く東京へ舞いもどらねばならなくなって来たのだから。
「大江山さん。私は、火星兵団にあいましたよ。命からがら逃げもどって来たところです」
「なに、火星兵団?」
「課長は御存じないのですか、甲州の山の奥に、火星兵団が、いわゆる火星のボートに乗って着陸したことを」
「それが、火星兵団ですかね。こっちにはそんな報告は来ていないが、昨夜、山梨県でたいへんあざやかな、流星が見えたという話は聞いていますがね」
「昨夜なら、それは、きっと火星兵団のことに違いありません。私は、あの時、火星のボートの着陸するすぐそばにいたのですよ」
 と、新田先生は、手みじかに、昨夜からの出来事を話した。
「ふうん、それはたいへんなことだ。あまり深い山奥のことだから、我々の目には、それほどたいへんなものに見えなかったんだ。よろしい、総監に報告をして、すぐさま手配をしましょう」
「まあ、課長、待って下さい。火星のボートを駆りたてるのも大切なことですが、それと同時に、丸木隊の火星人が、人間に変装して、もうすぐ、そちらへやって
前へ 次へ
全636ページ中327ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング