いと思う。話は、わき道にそれたが、このことだけは、くれぐれも賢い諸君にお守り願わねばならぬ」
 そう言って、リーズ卿はそこで深いため息をついたのだった。
 リーズ卿は、蟻田博士ほど火星の生物について、ふかいことは知らないような放送ぶりであった。果して卿は知らないのであるか、または知っていても言わないのか、そこはまだよくわからない。
 蟻田博士が、リーズ卿の放送を聞いたら、どんな感想を持つであろうか。ざんねんながら、蟻田博士の行方は知れないのであった。くわしく言えば、昨年の東京地方の大地震以来、どこかへ行ってしまったのか、それともまた、どこかの軒下で押しつぶされたのか、とにかく博士の消息はさっぱり聞かないのであった。
 リーズ卿の放送は、実は、まだもっと先があったのである。
「とにかく、この二つの心配――つまり、火星の空気がうすいことと、火星人と仲よく助けあって住んでいられるかどうかということ――この二つの心配が、火星移住をきめるについて、暗い影を投げる」
「その外、食物の問題もあるが、これは何とか解決がつくだろう。火星の上に空気があり植物があることがわかっているのだから、我々人間に食べ
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