イスカレーの関係は、庁内でたいへん有名であった。彼はずっと前、或る事件のため、一年近く遠く南の方に出張していた。わが南洋領の諸島を廻り、それから更に南下して、ジャワ、スマトラ、ボルネオ、セレベスという四つの大きな島をぐるぐる廻って来た。そのとき彼は、みやげにカレーの粉を石油缶に五杯も持って帰り、同僚にも分け、もちろん大江山課長にも呈上した。残りは、大事にしまってある。そうして、時々そのカレー粉を出してニウムの鍋にとき、自分でライスカレーを作って食べる。
それが有名な佐々の特製ライスカレーだが、それについてまだ話がある。
彼は、特製のライスカレーを、うまそうに食べる。七分づきの御飯は食堂からとりよせるのであるが、この上にぶっかける黄色なカレーの汁の中には、いろいろなものがはいる。鳥のこともあれば豚の時もあり、じゃがいものはいっていることもあれば、玉葱《たまねき》のはいっていることもある。
なおその上に、彼はいろいろな香の物をきざんで、混ぜあわすのである。黄色く押しのかかった古漬の沢庵や、浅漬のかぶや、つかりすぎて酸っぱい胡瓜や、紅しょうがや、時には中国料理で使う唐がらし漬のキャベツ
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