ナー博士のいる病院があることは分っているが、病院だけではないのだ。団員たちは「本館」と呼んでいるが、本館とだけでは分らない。
さてその詳しいことは、これから述べることにしよう。
巨大な斜塔
あぶないところで、四少年は生命をとりとめた。あのまま濃厚なR瓦斯《ガス》の中に二三時間放っておかれたら、死んでしまったことであろう。
サムナー博士は、この瓦斯をよく知っているのでこの四人の少年をうまく治療している。それでも、四少年がここへ収容されてから、笑いがとまるまでには六時間もかかった。
笑いはとまったけれど、四少年の健康は元のとおりになったわけでない。まだしきりに痙攣《けいれん》がおこる。もう声をたてて笑うようなことはないが、痙攣がおこると、顔がひきつったり、手足がぴくぴく動いたりするので、歩くことも出来ず、ベッドの上に寝ているより外《ほか》なかった。
二週間たった或る日サムナー博士は午前の診察で、四少年をいつもよりは非常に詳しく診察した。その上で次のようなことをいった。
「君たちは、今日診たところでは、まず中毒から直ったものと思う。今日から君たちは、自由にどこでも歩い
前へ
次へ
全163ページ中51ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング