走りまわり、測量をしたり、煙をあげたり、そうかと思うと小型飛行機を飛ばしたり、時には耕作用のトラクターのように土を掘りながら進行する自動車を何台かならべて競争をするのだった。
この赤三角研究団は、いったい何のためにこんなことをやっているのであろうか。
さて赤三角研究団では、この頃又へんなことを始めた。例の荒蕪地の方々に大小さまざまな檻《おり》を建てたのである。そしてその中にさまざまな動物を入れた。馬や牛や羊はいうに及ばず、鶏や家鴨《あひる》などの鳥類や、それから気味のわるい蛇《へび》や鰐《わに》や蜥蜴《とかげ》などの爬蟲類《はちゅうるい》を入れた網付の檻もあった。早合点をする人なら、ははあここに動物園が出来るのかと思ったことであろう。ところが本当はそうでない。その証拠には、檻の傍にかたまっている研究団の人々の傍で話を聞いてみるのが早道である。
「どこまで進行したかね」
「もうあと、檻一つ出来れば、それで完了だ。全部で四十個の檻が揃うわけだ」
「もう一つ残っている檻って、何を入れる檻かね」
「第十九号の檻だ。チンパンジー(類人猿)を入れる檻だ」
「ああ、そうか。おいおい、瓦斯《ガス》
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