電室へ駆付けた。
「もしもし、KGO局ですね。……そうですよ、危機一髪のところで墜落を免れて着陸しました。……皆おどろいていますって。局へ電話がどんどんかかってきますって。自動車で乗りつける人もある。それは愉快だな。……こっちの乗組員の氏名ですか。まず艇長のデニー博士、それから……」
 地球の上では早くもこれが全世界に電波の力で報道され、大興奮の渦巻となった様子であった。会議中だったデニー博士も遂にマイクの前に引張り出された。
「余は、わが火星探険協会長に永年よせられたるアメリカ全国民の後援に対し、衷心《ちゅうしん》感謝の意を表するものであります。今やわが地球人類は、火星にまで足跡を印したのでありますが、われわれはその光栄のために、今日までのあらゆる苦闘を一瞬にして忘れてしまいました。さりながらわれわれの任務は重《じゅう》且《か》つ大《だい》でありまして、火星人との交渉はこれから始まらんとして居ります。われわれは地球人類の光栄と名誉を保持し、それを汚すことなく、この新しい使命について万全の努力を払おうとする次第であります。ただ心にかかることは、宇宙艇の大破損と、燃料の大部分を失ったこと
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