空気の濃さは地球で一番高いといわれる標高八千八百八十二メートルのエベレスト峯頂上の空気よりももっと稀薄《きはく》であろうといわれていた。それは地上の気圧の約三分の一に相当するが、これによって火星の大気は、地球のそれの四分の一かそれ以下であろうと想像された。
 だからもし宇宙艇が、各室の空気洩れの穴をそのままに放っておけば、艇内の空気はどんどん外へ出ていってしまい、艇内の人々は呼吸困難に陥らなければならない。だから空気洩れの箇所を調べ、もしもそれがあるときはその部屋を犠牲にして、次の部屋との境にある密閉戸を下ろさねば危険となるのだ。しかもこのことは大急ぎでやらなければならなかった。
 生憎《あいにく》と宇宙艇はこれまでの難航によって、方々が壊れた。その都度応急処置をとったのであるが、何分にも航行の仕事に手がかかって、空気洩れ防止の方は十分に行われていなかった。デニー博士が、まずこの始末について第一の命令を発したのは正しかった。
 全員は各室を駆けまわり、すこし惜しかったけれど、漏洩《ろうえい》のある部屋はどんどん捨てて、それより手前の密閉戸を下ろしていった。
 その作業は、各員の努力によ
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