眞似をしたものです。私が裏の稻荷側《いなりわき》の巴旦杏《はたんきやう》の樹などに上つて居ると、お文さんはその下へ來てあの葉を探しに草叢の間を歩き※[#「えんにょう+囘」、第4水準2−12−11]りました。斑鳩《いかる》が來て鋭い聲で鳴いた竹藪の横は、私達がよく遊び※[#「えんにょう+囘」、第4水準2−12−11]つた場所です。そこで榎《えのき》の實を集めるばかりでなく、時には橿鳥《かしどり》の落して行つた青い斑《ふ》の入つた羽を拾ひました。
 私が祖母と二人で毎晩泊りに行く隱居所に對ひ合つて、土藏がありました。暗い金網戸の閉つた石段の上は、母が器物《うつはもの》を取出しに行つて、錠前をガチヤ/\言はせたところです。私は母に連れられて、土藏の二階に昇り、父の藏書を見たこともあります。古い本箱が幾つも/\積み重ねてありました。斯の土藏の下には年をとつた柔和な蛇が住んで居ました。太助などは『主《ぬし》』だと言つて、誰にも手を着けさせずに大事にした置きました。その『主』が頭を出して晝寢をして居る白壁の側、土藏の前にある柿の樹の下あたりは、矢張私達の遊び場所でした。甘い香のする柿の花が咲くから
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