とから歩いて来るものにその熱いさびしい思いを寄せたいと願った。それにしても、全国四千人を数えた平田篤胤没後の門人の中に、この時代の大波を乗り越えるものはあらわれないのか、と彼は嘆息した。所詮《しょせん》、復古は含蓄で、事物に働きかける実際の力にはならないと聞くのもつらく、ひとりで酒を飲めば飲むほど、かえって彼は寝られなかった。
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第十四章
一
馬籠《まごめ》にある青山のような旧家の屋台骨が揺るぎかけて来たことは、いつのまにか美濃《みの》の落合《おちあい》の方まで知れて行った。その古さから言えば永禄《えいろく》、天正《てんしょう》年代からの長い伝統と正しい系図とが残っていて、馬籠旧本陣と言えば美濃路にまで聞こえた家に、もはやささえきれないほどの強い嵐《あらし》の襲って来たことが、同じ街道筋につながる峠の下へ知られずにいるはずもなかった。馬籠を木曾路の西のはずれとするなら、落合は美濃路の東の入り口に当たる。落合から馬籠までは、朝荷物をつけて国境《くにざかい》の十曲峠《じっきょくとうげ》を越して行く馬が茶漬《ちゃづ》けまでには戻《もど》って来るほどの
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