ぎ》の葉の長くたれ下がったような粗《あら》い髪、延び放題に延びた草のような髯《ひげ》。あだかも暗い中世はそんなところにも残って、半蔵の目の前に光っているかのように見える。
 いつのまにか彼の心はその額の方へ行った。ここは全く金胎《こんたい》両部の霊場である。山嶽を道場とする「行《ぎょう》の世界」である。神と仏とのまじり合った深秘な異教の支配するところである。中世以来の人の心をとらえたものは、こんな両部を教えとして発達して来ている。父の病を祷《いの》りに来た彼は、現世に超越した異教の神よりも、もっと人格のある大己貴《おおなむち》、少彦名《すくなびこな》の二神の方へ自分を持って行きたかった。
 白膠木《ぬるで》の皮の燃える香気と共に、護摩《ごま》の儀式が、やがてこの霊場を荘厳にした。本殿の奥の厨子《ずし》の中には、大日如来《だいにちにょらい》の仏像でも安置してあると見えて、参籠者はかわるがわる行ってその前にひざまずいたり、珠数をつまぐる音をさせたりした。御簾《みす》のかげでは心経《しんぎょう》も読まれた。
「これが神の住居《すまい》か。」
 と半蔵は考えた。
 彼が目に触れ耳にきくものの多
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