とした。
「どうも半蔵さんばかりじゃなく、伊之助さんまでが賛成だとは意外だ。」
「でも結果から見て悪いと知ったことは、改めるのが至当ですよ。」
 こんな声が手に取るように聞こえる。宿役人の詰め所には人が集まると見えて、灯《ひ》がもれている。何かがそこで言い争われている。
「そんなことで、先祖以来の祭り事を改めるという理由にはなりませんよ。」
「しかし、人の心を改めるには、どうしてもその源《みなもと》から改めてかからんことにはだめだと思いますね。」
「それは理屈だ。」
「そんなら、六十九人もの破戒僧が珠数《じゅず》つなぎにされて、江戸の吉原《よしわら》や、深川《ふかがわ》や、品川|新宿《しんじゅく》のようなところへ出入《ではい》りするというかどで、あの日本橋で面《かお》を晒《さら》された上に、一か寺の住職は島流しになるし、所化《しょけ》の坊主は寺法によって罰せられたというのは。」
 神葬祭の一条に関する賛否の意見がそこに戦わされているのだ。賛成者は半蔵や伊之助のような若手で、不賛成を唱えるのは馬籠の問屋九太夫らしい。
「お寺とさえ言えば、むやみとありがたいところのように思って、昔からたく
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