図だけ分けて貰って、お雪の手紙と一緒に手荷物の中へ入れた。
叔父の出発は豊世に取って好い口実を与えた。こういう機会でも無ければ、彼女は容易に母を置いて行くことも出来ないような人であった。
「叔父さん、お願いですから私も連れてって下さいませんか。私も仕度しますわ」
と豊世は無理やりに叔父に頼んで、自分でも旅の仕度を始めた。
三吉はすこし煩《うるさ》そうに、「実は、僕は独《ひと》りで行きたい。それに他《ひと》の細君なぞを連れて行くのも心配だ」
「心配だと思うなら止《よ》すが可いぞや」とお種が言った。
「何でも私は随《つ》いてく」と豊世は新座敷の方から。
「じゃ、汽車に乗るところまで送って進《あ》げよう」と三吉も引受けた。
いよいよ別れると成れば、余計にお種は眠られない風であった。その晩、姉は奥座敷に休んで弟と一緒に遅くまで話した。姉の様子も気がかりなので、一旦《いったん》枕に就《つ》いた三吉は復た巻煙草を取出した。彼は先ずお仙の話をした。あれまでに養育したは姉が一生の大きな仕事であったと言った。薬の紙を折らせることも静かな手細工を与えたようなもので、自然と好い道を取って来たなどと言
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