一夕観
北村透谷
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)郷《さと》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)虫声|縷《る》の如く
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「片+總のつくり」、第3水準1−87−68]
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)しよく/\
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其一
ある宵われ※[#「片+總のつくり」、第3水準1−87−68]《まど》にあたりて横はる。ところは海の郷《さと》、秋高く天朗らかにして、よろづの象《かたち》、よろづの物、凛乎《りんこ》として我に迫る。恰《あたか》も我が真率ならざるを笑ふに似たり。恰も我が局促《きよくそく》たるを嘲るに似たり。恰も我が力なく能なく弁なく気なきを罵るに似たり。渠《かれ》は斯の如く我に徹透す、而して我は地上の一微物、渠に悟達することの甚《はな》はだ難きは如何ぞや。
月は晩《おそ》くして未だ上るに及ばず。仰いで蒼穹を観れば、無数の星宿紛糾して我が頭
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