だ。んだから、外の地主も俺達のば何んとかして、うやむやにしてしまいたいので調停委員の後さこっそりついてるんだとよ。
 小作官などは「この事件を無いことにしてくれれば、岸野さんからお前等に慰労金を出させてもいいんだが、――社会のためにも、その方がいいんだ」と云ったものだ。
 聞いたか?――みんなグルだ。
 もう残ったものは俺達ばかりよ。――こうなったら、皆! 意気地なく黙って首ば縊るか? もう一日だって食えねえんだからな。それに岸野は腕ずくでも取ってみせるッてるんだ。――それとも死にたくなかったら、最後までやるか?――もう、このどっちかに来ているんだ。どっちかだ。
 んで、どっちだ!
 ――伴は自分でも泣いていた。
 次に組合の荒川が「争議団」を組織して、即刻戦闘の準備をしなければならないことを、皆に話した。「鉄は赤いうちに!」
 寒い雨が降っていた。――もう冬が近い。そしてそれが知らない間に氷雨になっていた。さすがの(実際、さすがの、と健には思われた。)小作人もありありと興奮の色を顔に出していた。
「そんなことまでやるのか! 畜生奴!」
 皆は雨の中を帰って行った。出口で傘をさすと、急
前へ 次へ
全151ページ中123ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
小林 多喜二 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング