。」
「んでも、伴さんみたいに喧嘩早い人は代表には駄目だネ。」
「これでも駈け引になれば、駈け引はうまいんだよ。」――伴がてれた。
 何故そんな無駄な廻り道が必要なんだ。健は自分だけではそう思った。――分り切ったことでないか。
「喧嘩ッてなれば、矢張り乗るか、そるかだ。――やれることだけは、やって置かねば駄目だ。」――阿部までそう云った。
 心配していた女房達が、懐へ子供を抱き込んで乳をふくませたり、背中にくくりつけたまま、お互がああだ、こうだ、と話しながら、二三人ずつ、二三人ずつ集ってきた。――子供が喚いて、背中で母親の尻を蹴る。――入口がやかましくなった。
 こう集ってみると、小作の女達は「汚な」かった。畑から抜いてきた牛蒡《ごぼう》のように、黒くて、土臭かった。――然し、そのどの顔もたった一つのこと、「食えるか」「食えないか」で、引きつッていた。
「な、御内儀《おかみ》さん達よ、」
 伴が一言ずつ顎をしゃくりしゃくり、何時ももの[#「もの」に傍点]を云うときの癖で、眼をつぶって――「聞いて貰おう。――この一年間、寝る眼も寝ず働いて、そのお蔭で、有難いお蔭で、今食うや食わずになり、
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