┌─────────────────────────┐
 │      決議                 │
 │  今回岸野小作人が遠路出樽、小作料減免を歎願せ │
 │ るは、一昨年来の凶作を考えるとき、その要求に何 │
 │ 等不当なるものあるを認めるを得ず。速かにその解 │
 │ 決のために努力せられん事を促すものである。   │
 │  若し貴殿にして解決の誠意を示さざる時には、貴 │
 │ 殿の荷物の「陸揚げ」を絶対に拒否し、貴殿工場の │
 │ ストライキ、貴殿発売商品の不買同盟を決行す。  │
 │  右決議す。                  │
 │          全小樽陸産業労働者会議    │
 │    岸野殿                  │
 └─────────────────────────┘
 この決議は岸野の出鼻を挫いた。
 七之助からの手紙には、「工場」も動き出して来たと書かれていた。

 情報、九
 二十四日の「官憲糾弾演説会」当夜に於ける、官憲の血迷える醜体! 剣を短く吊った(イザッて云えばすぐだ!)警官を百人も会場の内外に配置する。会場の周囲には、要所要所に縄を張って、交通を遮断し(これでも交通妨害にならないから不思議だ。)来場の聴衆を一々|誰何《すいか》し、身体検査をもって威怖せしめるのだ。
 印刷屋にはスパイを派して、ビラの印刷を妨害し、会場会場の先廻りをしては「あんな奴等に貸せば、会場を壊されるぞ」と威圧的に、明かに「営業の目的」を迫害している。
 然し、此等の弾圧こそ逆に我々の闘争をより強固に、固く結びつかせるに役立つのだ。
 一緒に仕事をしているうちに、健は「ツンツンした」女にひきつけられてきた。
「節ちゃがね、健ちゃは魔がさしてるんだって、悲しそうにしてたよ。」
 そう云って、キヌの妹がキャッキャッと笑った。勝気らしく仕事をテキパキと片付けて行った。
[#改段]

    十三


     「女は女同志」

 ┌───────────────────────┐
 │   地主様の奥様にお願いして        │
 │ 幼児を背にして、五人の女房達きのう小樽へ! │
 └───────────────────────┘
 大きな「見出し」で小樽新聞が書いた。――岸野農場の小作人十余名は、三日来
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