から廻ってきて、少し停滞しているパンフレットや資料を読んで遅くなったので、次の朝十時頃まで寝ていた。――私は、下に誰か訪ねてきたりするのには、自分でも驚くほど敏感だった。私はそれで「ハッ!」として眼がさめたらしい。頭をあげると、矢張り巡査だった。戸籍しらべに来ている。私はこういう時に自分が引張り出されないようにと、前から原籍や氏名などを書いて、おばさんに渡してあった。巡査は細々と、しつこく訊《き》いていた。おばさん一家のことも、まるで犯罪でも調らべるようにきいている。これはどうも様子がおかしいなという予感が来た。私は耳をすましながら、書類の入っているトランクに鍵を下ろして、音がしないように着換をはじめた。――「間借は?」ときいている。「ハ、居ます。」……おばさんは茶の間に戻ってきて、私の書いた紙片を渡したらしい。
「これにはこの前にいたところが書いてないね。」……「夫婦かね?」とか、「何時籍が入ったのか、それとも籍が入ってないのかも、これじゃハッキリしていない。」おばさんが何か云っている。「夫の方は勤めてないのか?」……「今、居るの?」――私は来たな、と思った。「今出ています。」おばさ
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