えてみれば、そんなことになったら、監督が第一|周章《あわ》てるよ、会社の手前。代りを函館から取り寄せるのには遅すぎるし、出来高だって問題にならない程少ないし。……うまくやったら、これア案外大丈夫だど」
「大丈夫だよ。それに不思議に誰だって、ビクビクしていないしな。皆、畜生! ッて気でいる」
「本当のことを云えば、そんな先きの成算[#「先きの成算」に傍点]なんて、どうでもいいんだ。――死ぬか、生きるか、だからな」
「ん、もう一回だ!」

 そして、彼等は、立ち上った。――もう一度[#「もう一度」に傍点]!


        附記

 この後のことについて、二、三附け加えて置こう。
[#ここから改行天付き、折り返して1字下げ]
イ、二度目の、完全な「サボ」は、マンマと成功したということ。「まさか」と思っていた、面|喰《くら》った監督は、夢中になって無電室にかけ込んだが、ドアーの前で立ち往生してしまったこと、どうしていいか分らなくなって。
ロ、漁期が終って、函館へ帰港したとき、「サボ」をやったりストライキをやった船は、博光丸だけではなかったこと。二、三の船から「赤化宣伝」のパンフレットが出
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