そう云って、それから一寸《ちょっと》調子をかえた。「じゃ、聞け。いいか。明日の朝にならないうちに、色よい返事[#「色よい返事」に傍点]をしてやるから」――だが、云うより早かった、芝浦が監督のピストルをタタキ落すと、拳骨で頬《ほお》をなぐりつけた。監督がハッと思って、顔を押えた瞬間、吃りがキノコ[#「キノコ」に傍点]のような円椅子で横なぐりに足をさらった。監督の身体はテーブルに引っかかって、他愛なく横倒れになった。その上に四本の足を空にして、テーブルがひっくりかえって行った。
「色よい返事だ? この野郎、フザけるな! 生命にかけての問題だんだ!」
芝浦は巾《はば》の広い肩をけわしく動かした。水夫、火夫、学生が二人をとめた。船長室の窓が凄《すご》い音を立てて壊《こわ》れた。その瞬間、「殺しちまい!」「打ッ殺せ!」「のせ! のしちまえ!」外からの叫び声が急に大きくなって、ハッキリ聞えてきた。――何時の間にか、船長や雑夫長や工場代表が室の片隅《かたすみ》の方へ、固まり合って棒杭のようにつッ立っていた。顔の色がなかった。
ドアーを壊して、漁夫や、水、火夫が雪崩《なだ》れ込んできた。
昼
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