話になって科挙《かきょ》に応ずることになり、読書に心をひそめていたが、やがてその日がきたので、試験に応じてみると及第して高科に擢《ぬき》んでられた。
一方劉万戸の方では、秀英を高位高官の者からもらいにくるので、そのつど婚姻をさせようとしたが、秀英が頑として応じない。しかたなしにそのままにしていたところで、文世高の名が聞えてきた。劉万戸は自分に明のなかったのをひそかに恥じていた。
世高はそこで施十娘を頼んで劉家へ再縁を言い入れた。劉家では喜んで承諾したので、すぐ婚姻の式をあげた。
世高は施十娘一家の者にも厚く報いて、親類として交際していたが、そのうちに世の中がますます乱れて、蘇州の家産も滅んでしまったので、夫婦で西湖へ帰って、劉家の旧宅に隠居して一生を終ったのであった。
底本:「中国の怪談(一)」河出文庫、河出書房新社
1987(昭和62)年5月6日初版発行
底本の親本:「支那怪談全集」桃源社
1970(昭和45)年発行
入力:Hiroshi_O
校正:noriko saito
2004年12月14日作成
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