遥か遠くから一艘の楼船が来たが、すぐ傍へ来ると窓を開けた。一羽の色鳥が飛んで来たようにして織成が帰って来た。すると窓の中から金帛珍物をこちらの舟に向けて投げてくれた。それは皆王妃の賜物《たまもの》であった。
 柳夫妻はそれから毎年、年に一、二回洞庭にゆくことが例になった。柳の家はますます富んで珍らしい珠《たま》が多かった。それを世間に出してみると、いろいろの珍らしい物を見ている家柄の家でも知らなかった。



底本:「聊斎志異」明徳出版社
   1997(平成9)年4月30日初版発行
底本の親本:「支那文学大観 第十二巻(聊斎志異)」支那文学大観刊行会
   1926(大正15)年3月発行
入力:門田裕志
校正:松永正敏
2007年8月12日作成
青空文庫作成ファイル:
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