に、お前さん、よくも約束を破ったね。だが、もうお前さんをどうもしないよ、そのかわり子供を可愛がっておくれ、いいかい。もしわたしの子だからって、ひどい目に会わしたら、その時こそ、判ったねお前さん」
 声の終りの方が風のようにかすれた。かと思うと、お雪の身体はぽうと白い霞のようになって、そのまま天窓から出て往った。



底本:「怪奇・伝奇時代小説選集3 新怪談集」春陽文庫、春陽堂書店
   1999(平成11)年12月20日第1刷発行
底本の親本:「新怪談集 物語篇」改造社
   1938(昭和13)年
入力:Hiroshi_O
校正:noriko saito
2004年9月25日作成
青空文庫作成ファイル:
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