あつた。
「わツ、」
省三は怖しい叫び声をあげて逃げようとして舟から体を躍らした。
二日ばかりして山根省三の死骸は若い女の死体と抱き合つたままでその川尻の海岸にあがつて細君の手に引き取られたが、女の身元は判らないのでそれはその土地の共同墓地に埋められたと云ふことが二三の新聞に書かれた。
底本:「伝奇ノ匣6 田中貢太郎日本怪談事典」学研M文庫、学習研究社
2003(平成15)年10月22日初版発行
初出:「黒雨集」大阪毎日新聞社
1923(大正12)年10月25日
入力:川山隆
校正:門田裕志
2009年8月12日作成
青空文庫作成ファイル:
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