らした。その使が木の近くにゆくと、空に青い着物を着た小児が現われて、
「君はどこからきたのか」
と言った。使は、
「張司空の処から華表木を取りにきた」
と言った。すると小児は、
「あの古狸が馬鹿で、わしの詞《ことば》を聞かなかったから、わしにも禍が及んできた」
と言って泣きだしたが、すぐ見えなくなった。
そこで使の者は華表木を伐ってみると、木の中から血が流れた。そして、その木を持って帰ってきて、それに火を点《つ》けてみると、狸と狐の姿が現われた。張華はその二疋をつかまえて※[#「者/火」、第3水準1−87−52]《に》てしまった。
底本:「中国の怪談(一)」河出文庫、河出書房新社
1987(昭和62)年5月6日初版発行
底本の親本:「支那怪談全集」桃源社
1970(昭和45)年発行
入力:Hiroshi_O
校正:noriko saito
2004年11月3日作成
青空文庫作成ファイル:
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