ものだから、君にあげるよ」
孫はほんとうにして昼夜いろいろと工夫して七つの文章を作った。少年達は隠《ひそか》に笑いあった。その時試験官は熟《な》れた題では受験者が前人の文章を模倣するの弊があると思って、力《つと》めて変った題を出した。その題は皆孫の作った文章に符合していた。そこで孫は郷試に選ばれ、翌年は進士に挙げられて翰林《かんりん》を授けられた。天子は孫の不思議を聞いて召してお尋ねになった。孫は謹んで申しあげた。天子は非常にお喜びになって、阿宝に拝謁を仰せつけられ、たくさんの下されものがあった。
底本:「中国の怪談(二)」河出文庫、河出書房新社
1987(昭和62)年8月8日初版発行
底本の親本:「支那怪談全集」桃源社
1970(昭和45)年11月30日発行
※「頸《くび》まで赧《あか》くして、」は、底本では「頸《くび》まで※[#「赤+報のつくり」、130−5]《あか》くして、」でしたが、親本を参照して直しました。
入力:Hiroshi_O
校正:門田裕志、小林繁雄
2003年8月3日作成
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