二筋の血
石川啄木
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)仄《ほの》かな
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)一人|限《き》りだつたので、
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「おうにょう+王」、第3水準1−47−62]弱《かよわ》い
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)淋しくて/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
−−
夢の樣な幼少の時の追憶、喜びも悲みも罪のない事許り、それからそれと朧氣に續いて、今になつては、皆、仄《ほの》かな哀感の霞を隔てゝ麗《うらゝ》かな子供芝居でも見る樣に懷かしいのであるが、其中で、十五六年後の今日でも猶、鮮やかに私の目に殘つてゐる事が二つある。
何方《どつち》が先で、何方が後《あと》だつたのか、明瞭《はつきり》とは思出し難い。が私は六歳で村の小學校に上つて、二年生から三年生に進む大試驗に、私の半生に唯一度の落第をした。其落第の時に藤野さんがゐたのだから、一つ
次へ
全29ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
石川 啄木 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング