《ろうれつ》、着眼浅薄、由来皮相の国家主義を、弥益《いやます》皮相に述べ来りたる所、稚気|紛《ふん》として近づく可からず候。筆を進めて其謬見の謬見たる所以《ゆゑん》を精窮するは評家の義務かも知れず候へど、自明の理を管々《くだくだ》しく申上ぐるも児戯に等しかるべく候に付、差控へ申候。相沢活夫君[#「相沢活夫君」に丸傍点]の論は、此号の論客中尤も文に老練なる者と可申《まうすべく》、君の感慨には小生亦|私《ひそ》かに同情に堪へざる者に有之候。既にこの気概あり、他日の行動|嘱目《しよくもく》の至りに御座候。(以下次号)
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[「岩手日報」明治三十七年四月二十八、二十九、三十、五月一日]
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底本:「石川啄木全集第四巻 評論・感想」筑摩書房
   1980(昭和55)年3月10初版第1刷発行
   1882(昭和57)年11月20初版第3刷発行
初出:「岩手日報」
   1904(明治37)年4月28日〜5月1日
入力:林 幸雄
校正:noriko saito
2010年5月18日作成
青空文庫作成ファイル:
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