前の野道で、思ひがけなく刈草の匂ひを嗅いで、暫くはそこに引留められたやうな訳でした。
 矢のやうな銀線を描いて、大粒な雨がばらばらと落ちて来ました。農夫はあわてて刈草を背負つて駆け出しました。私もその後を追ひました。



底本:「日本の名随筆94 草」作品社
   1990(平成2)年8月25日第1刷発行
底本の親本:「太陽は草の香がする」アルス
   1926(大正15)年9月
入力:増元弘信
校正:菅野朋子
2000年7月29日公開
2005年12月31日修正
青空文庫作成ファイル:
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