ました。
「さうぢや。唐物の名物をもとめよう。さうして思ふさまこの瀬戸を抑へつけることぢや」
 忠興の心は、勝利の予期をもつて、雀のやうに小躍りしました。

 忠興は、間もなく古田織部の手を経て、黄金二千枚を払つて、唐物の名物「生高《せいたか》」といふ茶入を手に入れました。そしてやつと仲間喜平の名前の重みから免かれることができました。
[#地から1字上げ]〔昭和2年刊『猫の微笑』〕



底本:「泣菫随筆」冨山房百科文庫43、冨山房
   1993(平成5)年4月24日第1刷発行
   1994(平成6)年7月20日第2刷発行
入力:林 幸雄
校正:門田裕志
2003年3月24日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
前へ 終わり
全3ページ中3ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
薄田 泣菫 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング