しむ考も無論手伝ったに違ない。実際彼らは君の見るごとく、また吾々《われわれ》の見るごとく、最も親しい親子として今日《こんにち》まで発展して来たのだから、御互に事情を明《あか》し合ったところで毫《ごう》も差支《さしつかえ》の起る訳がない。僕に云わせると、世間にありがちな反《そり》の合《あわ》ない本当の親子よりもどのくらい肩身が広いか分りゃしない。二人だって、そうと知った上で、今までの睦《むつ》まじさを回顧した時の方が、どんなに愉快が多いだろう。少なくとも僕ならそうだ。それで僕は市蔵のために特にこの美くしい点を力のあらん限り彩《いろど》る事を怠《おこた》らなかった。

        六

「おれはそう思うんだ。だから少しも隠す必要を認めていない。御前だって健全な精神を持っているなら、おれと同じように思うべきはずじゃないか。もしそう思う事ができないというなら、それがすなわち御前の僻《ひが》みだ。解ったかな」
「解りました。善《よ》く解りました」と市蔵が答えた。僕は「解ったらそれで好い、もうその問題についてかれこれというのは止《よ》しにしようよ」と云った。
「もう止します。もうけっしてこの事
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