が不幸にも二人はある意味で密接に引きつけられている。しかもその引きつけられ方がまた傍《はた》のものにどうする権威もない宿命の力で支配されているんだから恐ろしい。取り澄ました警句を用いると、彼らは離れるために合い、合うために離れると云った風の気の毒な一対《いっつい》を形づくっている。こう云って君に解るかどうか知らないが、彼らが夫婦になると、不幸を醸《かも》す目的で夫婦になったと同様の結果に陥《おち》いるし、また夫婦にならないと不幸を続ける精神で夫婦にならないのと択《えら》ぶところのない不満足を感ずるのである。だから二人の運命はただ成行《なりゆき》に任せて、自然の手で直接に発展させて貰《もら》うのが一番上策だと思う。君だの僕だのが何のかのと要《い》らぬ世話を焼くのはかえって当人達のために好くあるまい。僕は知っての通り、市蔵から見ても千代子から見ても他人ではない。ことに須永《すなが》の姉からは、二人の身分について今まで頼まれたり相談を受けたりした例《ためし》は何度もある。けれども天の手際《てぎわ》で旨《うま》く行かないものを、どうして僕の力で纏《まと》める事ができよう。つまり姉は無理な夢を自
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