見るからに肉の緊《しま》った血色の好い青年であった。年から云うと、あるいは僕より上かも知れないと思ったが、そのきびきびした顔つきを形容するには、是非共青年という文字が必要になったくらい彼は生気に充《み》ちていた。僕はこの男を始めて見た時、これは自然が反対を比較するために、わざと二人を同じ座敷に並べて見せるのではなかろうかと疑ぐった。無論その不利益な方面を代表するのが僕なのだから、こう改たまって引き合わされるのが、僕にはただ悪い洒落《しゃれ》としか受取られなかった。
 二人の容貌《ようぼう》がすでに意地の好くない対照を与えた。しかし様子とか応対《おうたい》ぶりとかになると僕はさらにはなはだしい相違を自覚しない訳に行かなかった。僕の前にいるものは、母とか叔母とか従妹《いとこ》とか、皆親しみの深い血属ばかりであるのに、それらに取り捲《ま》かれている僕が、この高木に比べると、かえってどこからか客にでも来たように見えたくらい、彼は自由に遠慮なく、しかもある程度の品格を落す危険なしに己《おのれ》を取扱かう術《すべ》を心得ていたのである。知らない人を怖《おそ》れる僕に云わせると、この男は生れるや否や
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