と》と結婚しようと、千代子がどこの何人に片づこうと、それは敬太郎の関係するところではなかったが、この二人の運命が、それほど容易《たやす》く右左へ未練なく離れ離れになり得るものか、または自分の想像した通り幻《まぼろ》しに似た糸のようなものが、二人にも見えない縁となって、彼らを冥々《めいめい》のうちに繋《つな》ぎ合せているものか。それともこの夢で織った帯とでも形容して然《しか》るべきちらちらするものが、ある時は二人の眼に明らかに見え、ある時は全たく切れて、彼らをばらばらに孤立させるものか、――そこいらが敬太郎には知りたかったのである。固《もと》よりそれは単なる物数奇《ものずき》に過ぎなかった。彼は明らかにそうだと自覚していた。けれども須永に対してなら、この物数奇を満足させても無礼に当らない事も自覚していた。そればかりかこの物数奇を満足させる権利があるとまで信じていた。

        二

 その日は生憎《あいにく》千代子に妨たげられた上、しまいには須永《すなが》の母さえ出て来たので、だいぶ長く坐っていたにもかかわらず、立ち入った話はいっさい持ち出す機会がなかった。ただ敬太郎《けいたろう
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