と半分言いかけて、心持横にした大きな眼で千代子を見上げた時、突然右の手に持った匙を放り出して、千代子の膝《ひざ》の前に俯伏《うつぶせ》になった。
「どうしたの」
千代子は何の気もつかずに宵子を抱《だ》き起した。するとまるで眠った子を抱えたように、ただ手応《てごたえ》がぐたりとしただけなので、千代子は急に大きな声を出して、宵子さん宵子さんと呼んだ。
四
宵子《よいこ》はうとうと寝入《ねい》った人のように眼を半分閉じて口を半分|開《あ》けたまま千代子の膝《ひざ》の上に支えられた。千代子は平手でその背中を二三度|叩《たた》いたが、何の効目《ききめ》もなかった。
「叔母さん、大変だから来て下さい」
母は驚ろいて箸《はし》と茶碗を放り出したなり、足音を立てて這入《はい》って来た。どうしたのと云いながら、電灯の真下で顔を仰向《あおむけ》にして見ると、唇《くちびる》にもう薄く紫の色が注《さ》していた。口へ掌《てのひら》を当てがっても、呼息《いき》の通う音はしなかった。母は呼吸《こきゅう》の塞《つま》ったような苦しい声を出して、下女に濡手拭《ぬれてぬぐい》を持って来さした。そ
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