出て、ねえ宵子さんと云っては、わざと二人の親しい様子を叔母に見せた。叔母は笑いながら、何だね喧嘩《けんか》でもしやしまいしと云った。松本は、御前そんなにその子が好きなら御祝いの代りに上げるから、嫁に行くとき持っておいでと調戯《からか》った。
その日も千代子は坐ると直《すぐ》宵子を相手にして遊び始めた。宵子は生れてからついぞ月代《さかやき》を剃《そ》った事がないので、頭の毛が非常に細く柔《やわら》かに延びていた。そうして皮膚の青白いせいか、その髪の色が日光に照らされると、潤沢《うるおい》の多い紫《むらさき》を含んでぴかぴか縮《ちぢ》れ上っていた。「宵子さんかんかん結《い》って上げましょう」と云って、千代子は鄭寧《ていねい》にその縮れ毛に櫛《くし》を入れた。それから乏しい片鬢《かたびん》を一束|割《さ》いて、その根元に赤いリボンを括《くく》りつけた。宵子の頭は御供《おそなえ》のように平らに丸く開いていた。彼女は短かい手をやっとその御供の片隅《かたすみ》へ乗せて、リボンの端《はじ》を抑えながら、母のいる所までよたよた歩いて来て、イボンイボンと云った。母がああ好くかんかんが結えましたねと賞《
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