足音をどんどん立てて二人の小供が衝立の影まで来て、珍らしそうな顔をして敬太郎を眺《なが》めた。昨日に比べるとこれだけの変化を認めた彼は、最後にどうぞという案内と共に、硝子戸《ガラスど》の締《し》まっている座敷へ通った。その真中にある金魚鉢のように大きな瀬戸物の火鉢《ひばち》の両側に、下女は座蒲団《ざぶとん》を一枚ずつ置いて、その一枚を敬太郎の席とした。その座蒲団は更紗《さらさ》の模様を染めた真丸の形をしたものなので、敬太郎は不思議そうにその上へ坐《すわ》った。床《とこ》の間《ま》には刷毛《はけ》でがしがしと粗末《ぞんざい》に書いたような山水《さんすい》の軸《じく》がかかっていた。敬太郎はどこが樹でどこが巌《いわ》だか見分のつかない画を、軽蔑《けいべつ》に値する装飾品のごとく眺《なが》めた。するとその隣りに銅鑼《どら》が下《さが》っていて、それを叩《たた》く棒まで添えてあるので、ますます変った室《へや》だと思った。
すると間《あい》の襖《ふすま》を開けて隣座敷から黒子《ほくろ》のある主人が出て来た。「よくおいでです」と云ったなり、すぐ敬太郎の鼻の先に坐ったが、その調子はけっして愛嬌《あ
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