せん。しかし事実は多くの場合において、あたかも子を産む事を目的にして結婚をしたように見えます。さればといって子孫を作る目的で嫁を貰ってならんと云う理由もありませんから、結果が同じならどうでも構わないでしょう。私はこの目的を眼中に置かないで、おのずからこの目的に叶《かな》うような述作をやる人を art for art 派の芸術家と云いたいと思います。俗に art for art 派と云うと何だか、ことさらに道徳を無視する作家のみを指すようですが、たとい道徳的情操を鼓吹《こすい》したって、始めから、この目的を本位として、述作にとりかからずに、出来上った結果だけがおのずからこの目的にかなっていたらやはり art for art の作家かと思います。ユーゴーの攻撃のごときは固《もと》より歴史的にああいう必要もあったのでしょうが、私のように解釈したらあれほど議論をする必要もなかろうと思います。同時に最初から一定の目的をもって出立したって構わない訳かと存じます。普通この立場を非難する人の説はこうなんだろうと思います。作そのものが芸術家の目的であるのに、作以前にある目的を立てておいて、その目的のため
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