め得るような意味を与える事であります。落語家のいわゆる落ちをつけた小説のようなものになります。これは近頃大分流行致しておりますから、別段|布衍《ふえん》する必要もございますまい。ただ御注意だけに留《とど》めておきます。前の例などもここに応用ができます。「御前は必竟芸術家だ。本当の恋はできない」これが一篇の主意の落着するところであります。ただし落ちを取る目的は綜合《そうごう》にあるので、前の二カ条は解剖が主でありますから、目的の方角は反対になります。だからちょっと区別しておきました。
次には、人生において、容易に注意を払っておかなかった現象、したがって滅多《めった》にない事という意味にもなりますが、この方面にも大分新らしい材料がある事と思われます。この間友人からこんな話を聞きました。その男の国での事でありますが、ある芸妓《げいしゃ》がある男と深い関係になっていたのだそうで。その両人がある時船遊びに出ました。そこいらを漕《こ》ぎ廻った末、都合のいい磯《いそ》へ船をもあいまして、男が舟を棄《す》てて岸へ上りました。ところが岸辺に神社か何かあると見えて、磯からすぐに崖《がけ》になって、崖のな
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