@を襲《おそ》う気分がした。
「こんな田舎《いなか》に一人《ひとり》では御淋《おさみ》しかろ」と和尚《おしょう》はすぐ余に話しかけた。
「はああ」となんともかとも要領を得ぬ返事をする。淋《さび》しいと云えば、偽《いつわ》りである。淋しからずと云えば、長い説明が入る。
「なんの、和尚さん。このかたは画《え》を書かれるために来られたのじゃから、御忙《おいそ》がしいくらいじゃ」
「おお左様《さよう》か、それは結構だ。やはり南宗派《なんそうは》かな」
「いいえ」と今度は答えた。西洋画だなどと云っても、この和尚にはわかるまい。
「いや、例の西洋画じゃ」と老人は、主人役に、また半分引き受けてくれる。
「ははあ、洋画か。すると、あの久一《きゅういち》さんのやられるようなものかな。あれは、わしこの間始めて見たが、随分奇麗にかけたのう」
「いえ、詰らんものです」と若い男がこの時ようやく口を開いた。
「御前何ぞ和尚さんに見ていただいたか」と老人が若い男に聞く。言葉から云うても、様子から云うても、どうも親類らしい。
「なあに、見ていただいたんじゃないですが、鏡《かがみ》が池《いけ》で写生しているところを和尚
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