き》な考えを起して自殺したと書いてあるのです。私は何にもいわずに、その新聞を畳《たた》んで友人の手に帰しました。友人はこの外《ほか》にもKが気が狂って自殺したと書いた新聞があるといって教えてくれました。忙しいので、ほとんど新聞を読む暇がなかった私は、まるでそうした方面の知識を欠いていましたが、腹の中では始終気にかかっていたところでした。私は何よりも宅《うち》のものの迷惑になるような記事の出るのを恐れたのです。ことに名前だけにせよお嬢さんが引合いに出たら堪《たま》らないと思っていたのです。私はその友人に外《ほか》に何とか書いたのはないかと聞きました。友人は自分の眼に着いたのは、ただその二種ぎりだと答えました。
私が今おる家へ引《ひ》っ越《こ》したのはそれから間もなくでした。奥さんもお嬢さんも前の所にいるのを厭《いや》がりますし、私もその夜《よ》の記憶を毎晩繰り返すのが苦痛だったので、相談の上移る事に極《き》めたのです。
移って二カ月ほどしてから私は無事に大学を卒業しました。卒業して半年も経《た》たないうちに、私はとうとうお嬢さんと結婚しました。外側から見れば、万事が予期通りに運んだの
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