たから何ともいえませんが、同じ級にいる間《あいだ》は、中学でも高等学校でも、Kの方が常に上席を占めていました。私には平生から何をしてもKに及ばないという自覚があったくらいです。けれども私が強《し》いてKを私の宅《うち》へ引《ひ》っ張《ぱ》って来た時には、私の方がよく事理を弁《わきま》えていると信じていました。私にいわせると、彼は我慢と忍耐の区別を了解していないように思われたのです。これはとくにあなたのために付け足しておきたいのですから聞いて下さい。肉体なり精神なりすべて我々の能力は、外部の刺戟《しげき》で、発達もするし、破壊されもするでしょうが、どっちにしても刺戟を段々に強くする必要のあるのは無論ですから、よく考えないと、非常に険悪な方向へむいて進んで行きながら、自分はもちろん傍《はた》のものも気が付かずにいる恐れが生じてきます。医者の説明を聞くと、人間の胃袋ほど横着なものはないそうです。粥《かゆ》ばかり食っていると、それ以上の堅いものを消化《こな》す力がいつの間にかなくなってしまうのだそうです。だから何でも食う稽古《けいこ》をしておけと医者はいうのです。けれどもこれはただ慣れるという
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