、その日その日を落ち付きのない顔で過ごしていました。そうして忙しいという言葉を口癖《くちくせ》のように使いました。何の疑いも起らない時は、私も実際に忙しいのだろうと思っていたのです。それから、忙しがらなくては当世流でないのだろうと、皮肉にも解釈していたのです。けれども財産の事について、時間の掛《か》かる話をしようという目的ができた眼で、この忙しがる様子を見ると、それが単に私を避ける口実としか受け取れなくなって来たのです。私は容易に叔父を捕《つら》まえる機会を得ませんでした。
私は叔父が市の方に妾《めかけ》をもっているという噂《うわさ》を聞きました。私はその噂を昔中学の同級生であったある友達から聞いたのです。妾を置くぐらいの事は、この叔父として少しも怪《あや》しむに足らないのですが、父の生きているうちに、そんな評判を耳に入れた覚《おぼ》えのない私は驚きました。友達はその外《ほか》にも色々叔父についての噂を語って聞かせました。一時事業で失敗しかかっていたように他《ひと》から思われていたのに、この二、三年来また急に盛り返して来たというのも、その一つでした。しかも私の疑惑を強く染めつけたもの
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