を往《ゆ》き来していたか知りません。私の着いた時は、家族のものが、みんな一《ひと》つ家《いえ》の内に集まっていました。学校へ出る子供などは平生《へいぜい》おそらく市の方にいたのでしょうが、これも休暇のために田舎《いなか》へ遊び半分といった格《かく》で引き取られていました。
 みんな私の顔を見て喜びました。私はまた父や母のいた時より、かえって賑《にぎ》やかで陽気になった家の様子を見て嬉《うれ》しがりました。叔父はもと私の部屋になっていた一間《ひとま》を占領している一番目の男の子を追い出して、私をそこへ入れました。座敷の数《かず》も少なくないのだから、私はほかの部屋で構わないと辞退したのですけれども、叔父はお前の宅《うち》だからといって、聞きませんでした。
 私は折々亡くなった父や母の事を思い出す外《ほか》に、何の不愉快もなく、その一夏《ひとなつ》を叔父の家族と共に過ごして、また東京へ帰ったのです。ただ一つその夏の出来事として、私の心にむしろ薄暗い影を投げたのは、叔父夫婦が口を揃《そろ》えて、まだ高等学校へ入ったばかりの私に結婚を勧める事でした。それは前後で丁度三、四回も繰り返されたでしょ
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