て、万事その人の世話にならなければならない私には、もう単なる誇りではなかったのです。私の存在に必要な人間になっていたのです。

     五

「私が夏休みを利用して始めて国へ帰った時、両親の死に断えた私の住居《すまい》には、新しい主人として、叔父夫婦が入れ代って住んでいました。これは私が東京へ出る前からの約束でした。たった一人取り残された私が家にいない以上、そうでもするより外《ほか》に仕方がなかったのです。
 叔父はその頃《ころ》市にある色々な会社に関係していたようです。業務の都合からいえば、今までの居宅《きょたく》に寝起《ねお》きする方が、二|里《り》も隔《へだた》った私の家に移るより遥かに便利だといって笑いました。これは私の父母が亡くなった後《あと》、どう邸《やしき》を始末して、私が東京へ出るかという相談の時、叔父の口を洩《も》れた言葉であります。私の家は旧《ふる》い歴史をもっているので、少しはその界隈《かいわい》で人に知られていました。あなたの郷里でも同じ事だろうと思いますが、田舎では由緒《ゆいしょ》のある家を、相続人があるのに壊《こわ》したり売ったりするのは大事件です。今の私
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