です。今から回顧すると、むしろ人に羨ましがられる方だったのでしょう。というのは、私は月々|極《きま》った送金の外に、書籍費、(私はその時分から書物を買う事が好きでした)、および臨時の費用を、よく叔父から請求して、ずんずんそれを自分の思うように消費する事ができたのですから。
何も知らない私は、叔父《おじ》を信じていたばかりでなく、常に感謝の心をもって、叔父をありがたいもののように尊敬していました。叔父は事業家でした。県会議員にもなりました。その関係からでもありましょう、政党にも縁故があったように記憶しています。父の実の弟ですけれども、そういう点で、性格からいうと父とはまるで違った方へ向いて発達したようにも見えます。父は先祖から譲られた遺産を大事に守って行く篤実一方《とくじついっぽう》の男でした。楽しみには、茶だの花だのをやりました。それから詩集などを読む事も好きでした。書画骨董《しょがこっとう》といった風《ふう》のものにも、多くの趣味をもっている様子でした。家は田舎《いなか》にありましたけれども、二|里《り》ばかり隔たった市《し》、――その市には叔父が住んでいたのです、――その市から時
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